代表挨拶

九州大学マス・フォア・インダストリ研究所 所長
MfIP 代表 梶原 健司

マス・フォア・インダストリ・プラットフォーム(MfIP)は2023年10月に創設された、数学と諸科学、産業・社会との協働を促進するオールジャパン体制のプラットフォームで、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所を中核機関、東北大学数理科学共創社会センターと知の創出センターを協力機関、全国15の数学・数理科学系研究機関を連携機関として構成されています。
現在、「数理・データサイエンス・AI」 という言葉が象徴するように、抽象性の高い数学が直接社会の根幹を支え、その成長を牽引する時代を迎えています。また数学は、その普遍性ゆえに、多様な分野を横串で貫き支える異分野融合の糊としての機能を持ち、それが多様な社会課題の解決に向けた総合知構築の鍵になりつつあります。そのような状況で、MfIPは数学・数理科学のシーズと諸科学、産業・社会のニーズの積極的な発掘による出会いの場の創出や、共同研究・研究インターンシップのマッチング、訴求活動などの事業を、共同利用・共同研究拠点のネットワークも効果的に活用しながら実施し、諸科学、産業・社会からの数学・数理科学に対する要請に数学コミュニティ全体で応えます。
「2030年に向けた数理科学の展開ー数理科学への期待と重要課題」(文部科学省研究振興局、2022年7月)には、【重要課題3】/【重要課題4】として「学際、異分野との連携、社会との連携」が挙げられ、そこでは「数理科学の学問の幅を拡げ進展させていく機能拡張のモデルを創っていく必要」と、「全国大学における数理科学の研究者が他の科学、産業・社会と協働するプラットフォーム組織・体制の整備」が謳われています。MfIPは、文部科学省科学技術試験研究委託事業「数学・数理科学と諸科学・産業との協働によるイノベーション創出のための研究促進プログラム(略称:数学協働プログラム)」(中核機関: 統計数理研究所、2012〜2016年度)、「数学アドバンストイノベーションプラットフォーム(略称: AIMaP)」(中核機関:九州大学マス・フォア・インダストリ研究所、2017〜2021年度)によって構築された研究活動のネットワーク型基盤を拡張し、この構想を実装するものです。MfIPは今後、連携機関の輪を拡げつつ、産業、社会や諸科学分野と数学コミュニティをつなぐ窓口として、産業数理・応用数理とそれを支える数学研究を力強く推進します。